「え、蛍光印刷? 面白そうだけど、印刷まわりのハンドリングはちょっと大変そう…?」
蛍光印刷を発注する側としては、そんなふうに思われる方も多いかもしれません。
実際、私たち印刷会社の中の人間にとっても、蛍光色というのはちょっと特別な存在です。
普段のCMYK印刷では見られないような、ビビッドで主張の強いインキ。しかも、紙との相性でも仕上がりに影響する──。
今回、そんな蛍光印刷に関する実験・検証(https://www.towaprintinglab.com/special-03)を行いましたが、こちらは6色の蛍光インキ×5種類の用紙という、まさに“掛け合わせの妙”を試す企画でもありました。
そこで、今回は印刷現場からの生の声をヒアリング!印刷オペレーターが感じた、蛍光名刺印刷の裏側や、現場の感想などをご紹介します。
聞き手:企画担当スタッフ K(以下、企画K)
話し手:印刷オペレーター Y(以下、印刷Y)
■ 最初に蛍光と聞いて「これは一筋縄ではいかないぞ」と思った
企画K:最初にこの企画について聞いたとき、率直にどう思いましたか?
印刷Y:正直な感想は、「お、久々に攻めてきたな」でした。一筋縄ではいかないぞ、と(笑)。でも、蛍光インキ6色でいろんな紙に刷って見るということで、実際に紙によって出方の違いを見られるのは良いなと思いましたし、良いサンプルにもなるな、と。
紙の種類によって、インキの乗り方・沈み方が全然違うんですよね。たとえば、コート紙のようなツルツルした紙なら、「これでもか!」ってくらい蛍光色がパキッと発色する。でも、上質紙だと沈んでナチュラルに。これはこれでかわいいけど、期待していた “ネオン感” とは少しズレる。
だからこそ、最初の刷り出しの段階から、「この組み合わせ、どう見せたいのかな?」ということは常に頭に置きつつ、でも実験検証なので平に印刷されるように調整していました。蛍光インキは盛り込まないと濃度が出ないので、そこは通常の印刷案件とは違って、気を使う部分ではありましたね。
■ 現場的“推し組み合わせ”は、ヴァンヌーボ×蛍光ピンク
企画K:実際に印刷してみて、Yさんはどの紙と色の組み合わせが好きでした?
印刷Y:印刷オペレーターとして面白かったのは、ヴァンヌーボ×蛍光ピンクの組み合わせです。
ヴァンヌーボって、あの独特の柔らかい風合いが魅力の紙なんですけど、そこに蛍光インキを載せると、発色に微妙な立体感が出るんですよね。インキが紙の凹凸に引っかかって、光の角度で表情が変わるというか。
この実験で「おっ、これはいいな」と思えた瞬間でした。
あと、ファーストヴィンテージのようなクラフト系の紙は、蛍光色が沈んじゃうかな…と思ったら、想像より発色して驚きました。
色自体は若干くすんだ印象にはなりますが、クラフト調の落ち着いた中にピリッと差し色が映えるので、デザイン事務所の名刺とか、スイーツやアパレル系の店舗カードなんかにいいかもしれませんね。ただ、クラフト系の紙でももっと色が濃い場合、蛍光色は出づらいかもな…と思いました。
■ 蛍光インキ=“派手だけじゃない”と気づいた
企画K:他に何か気づいたことや新たに発見したことはありましたか?
印刷Y:たとえば、マットコート紙に蛍光を印刷した時の“上品さ”。これは発注側の人にもぜひ知ってほしいなと思いました。蛍光=ギラつくってイメージ、ありますよね?でも、紙と面積の選び方次第で、「静かに目を引く」使い方もできるなと思いました。
絵柄の一部だけを蛍光色にしてアクセントにするとか、蛍光ペンみたいに文字を強調させる罫線として使うとか。あと薄いグレーと合わせるのも良かったですよね。蛍光色に引っ張られるのか、ちょっとシルバーに見える気がしたりして。そういう使い方ができると、デザインとして洗練された感じも受けますし、確実に印象に残ると思いました。
■ 実験で終わらせるのはもったいない。蛍光は“実用性アリ”です
企画K:実際に、この検証の中で刷った名刺を社内で使っているんですが、名刺交換のたびに話題になります。「蛍光すごいですね!」「これ、どこで刷ったんですか?」「持って帰ってじっくり見てもいいですか?」って(笑)
印刷Y:そのリアクションを聞くと、印刷物によって“心が動く”ことがまだまだあるんだな、と実感しますね。これは印刷オペレーターとしては本当に嬉しいことです。
蛍光印刷って、たしかにちょっとクセがあるし、紙やデザインとの相性も考える必要がありますが、そこをきちんと押さえれば、「記憶に残すツール」としてすごく強い。だからこそ、今回の実験は、単なるサンプル以上の価値があったなと、印刷した側からも感じています。
■ 発注される方へ。ちょっとした工夫が、仕上がりを変えます
企画K:最後に、これから蛍光印刷を検討される企業のご担当者さんに伝えたいことなどはありますか?
印刷Y:お伝えしたいのは、「どう見せたいかを、ほんの少しだけでも言葉で伝えてもらえると嬉しい」ということです。
印刷って、データをそのまま“出す”だけじゃないんです。どんな風に見せたいか、そのイメージを現場の私たちが形にしていく仕事でもあります。
「ここはしっかり目立たせたい」「ここは自然に馴染ませたい」──それだけで、インキの盛りで若干の調整はできます。
もちろん印刷前の段階で、藤和の担当営業がデータの作り方などでの調整について相談に乗ることもできるので、ぜひ伝えていただきたいですね!網の表現もサンプルあるので、表現としてニュアンス出したい場合は相談してもらえればいいかなと思います。
企画K:そうですね。企画の段階からご相談いただければ、印刷を見越したデザインの最適化やデータ上の工夫などをお伝えることもできますし、さらにその先を目指すために、ぜひ我々印刷会社のスタッフを使っていただきたいですね。
印刷Y:はい。満足のいく印刷物に仕上げるお手伝いをしていきたいです!
蛍光色による“攻めた選択”は、静かに効いてくる紙アイテムとして効果がある、という実感があります。
名刺に、DM・封筒に、文具やうちわにも。
蛍光印刷、ぜひ一度お試しください。